謎のおじさんに指導を受ける

 日曜日はBobの稽古。隣町から1時間半かけて指導に来てくれます。Bobの稽古のときはいつも忙しくてあまりこれないクラブメイトも時間を作って集まります。それだけ得るものがあるということでしょう。日曜日はBob自身の道場生も数名、あとは別な隣町からも出稽古に来ていて狭い道場にひしめき合うように稽古をしました。といっても20−25名の人数ですが。
 稽古を始めてしばらくすると、65才を超えたであろうおじさんが入り口に立っていました。見学者かな?と思っていたらBobと短い会話を交わして、次に気づいたら袴を履いて道場に立っています。みんなが座ってBobの見本を見ている間、彼は立ってじっと観察。ちなみに合気道はまず指導者がデモンストレーションをして、その後で二人一組のペアを作って稽古を始めると言う形態の稽古をすることが多いです。それにしてもそのおじさん、舐めるようにBobの動きを観察しています。
 不思議な人だなぁとおもっていたら、ペア稽古が始まった後、みんなの場所を廻って勝手に指導を始めます。いったい誰なのかよく分らないまま私もおじさんのアドバイスを受けて動きを修正します。アドバイスすることは的を得ていて、大切なポイントばかりなので、ちゃんとした指導者なのだと言うことはわかりました。正体は不明でしたが、特にBobも何も言わないので、公認の指導なのだろうと勝手に解釈して稽古の終わりまでBobメイン、おじさんサブ、みたいな稽古が続き、終わってからおじさんと話をすると、そのおじさん先生、レスという名前の方で、Bobのかつてのお師匠さんもあり、私達の道場にも一時教えに来ていたそうです。わたしがしらなかっただけで古株の道場生は知っていたというわけです。
 Bobは始め空手、八光流合気道、そして合気会合気道と渡り歩いていたそうで、合気会合気道を始める前はおじさん先生、もとい、レス先生という方に空手と八光流
合気道を習っていたというわけです。それにしても推定65-70歳のおじ(い)さんがアメリカでそれだけの武道をそんな昔からやっていたということが、カルチャーショックでした。
 武道は日本が源流のものも多いですし、層も厚いと思いますが、すでに海外で多くの人が長年の間稽古を積んでそれぞれの地で根付いているんだということを実感した出来事でした。