障害と武道

 先日、稽古セミナーを開いてくれた大東流のH先生、ほんの小さな子供の頃から武道をたしなんでいたそうです。空手に柔道、柔術八光流)など、18年学んだ後で大東流に弟子入りしたんだとか。彼、15歳のときに走って膝をぶつけてひどく怪我をしたのだそうです。骨や筋に後遺症が残ったのでしょう。10回以上の手術の末、数年前に膝にプレートを入れたんだと教えてくれました。受身は怪我をしていない足の側ではしますが、怪我をした側ではうまくできませんし、座ったときに正座はもちろんできません。それでもその技はやわらかく、崩しは本物でした。
 合気道合気柔術をやる人には怪我をされている人を時々見かけます。H先生のように歩けるし、日常生活には問題ないけれど、どこか痛めている方や、テネシー州にいる先生は体の左右どちらかの半身が健常者のように動かせないそうですし、盲目の合気道家の先生もメキシコにいるそうです。どの方も素晴らしい技をすると聞きます。そういえば日本で合気柔術をテーマにした"合気"という映画がありましたが、あれも主人公が半身不随の障害を負っている人でした。あの主人公のモデルになった人は大東流合気柔術の岡本先生に教えを受けた実在する方なんだそうです。
 普段、普通に合気道の稽古をしていると考えるチャンスはあまりありませんが、世の中には色んなコンディションで自分と同じことに取り組んでいる人がいるんだと意識させられます。