本当の災害対策

 こういうのを本当の災害対策って言うんでしょうね。伊達勝身町長、Good job!
 阪神大震災のときも、ある商店街のアーケードが、建設当時の建築士の強い勧めで柱をボーリングして地中深くまで埋め込み、耐震性を高めて作られていたために、その商店街はほとんどアーケードの被害が無かったと言うニュースを読んだことを思い出しました。当時、耐震設計でアーケードを作ると数百万コストが高くなるというので、施工主は悩んだそうなんですが、実際に地震があったときの被害額やリスクに比べれば、それだけの価値はあったわけです。どういう思想で建築されたかで、多くの人の命が救われるのでしょう。

児童88人を救った「運命の避難階段」 岩手県岩泉町
産経新聞
2011年03月20日20時12分

 東日本大震災による津波は、岩手県岩泉町小本地区にある高さ12メートルの防潮堤を乗り越えて川をさかのぼり、家屋をのみ込みながら小学校まで迫った。間一髪で児童88人の危機を救ったのは、2年前に設置された130段の避難階段だった。(原圭介)

 太平洋に臨む岩泉町小本地区は、小本川沿いに半農半漁の住民158世帯、428人が暮らしている。小本小学校は同地区の奥に位置し、背後には国道45号が横切っているが、高さ十数メートルの切り立ったがけに阻まれ、逃げ場がなかった。

 同小の避難ルートは以前は別だった。数年前の避難訓練の際、伊達勝身町長が「児童が津波に向かって逃げるのはおかしい」と国土交通省三陸国道事務所に掛け合って変更。平成21年3月に国道45号に上がる130段、長さ約30メートルの避難階段が完成した。

 今回の巨大津波は小本地区と川を挟んだ中野地区(175世帯、422人)を直撃。130棟の家屋をのみ込み、校舎手前の民家もなぎ倒した。児童は予想外のスピードで迫る津波から逃れるため、避難階段を必死に駆け上り、高台の広場に逃げ込んだ。校舎と体育館は水に浸かり、今も使えない。

 高橋渉副校長(51)によれば、階段のおかげで避難時間が5〜7分短縮できたという。広場の倉庫には毛布やテントも用意してあった。児童88人を救った130段の階段、高橋副校長は「あと10分、避難が遅れていたらどうなっていたか分からない。少なくとも何人はけがをしていたかもしれない」と胸をなで下ろした。

 卒業式と入学式・始業式は延期した上で町役場近くの町民会館で実施する。校舎での授業にはめどがたっていないという。