その場1度きりではない子育て

 子育てをしていると、自分の子供時代の事を思い出します。よかったこと、よくなかったこと。その場ですぐに納得できたこと、いまだに納得できないこと、色々思い出します。

 
 子供を育てていて初めて分った当時の親の気持ちもあれば、子供と接する親になって初めて分った当時の親の対応もあります。いい事も、そうでないことも、子育てはその時1度きりではなくて、子供がやがて親になったときにもう一度たどるものかもしれません。さらに子どもが親になってした子育てが、やがてさらにその子どもに何十年後かに思い出されることになるのかもしれません。


 いい事はもちろん残りますが、悪いことはもっと印象的に残るように思います。親がその時、自分の感情に任せてした理不尽なことは、何十年経っても子供にとっては忘れることができないでしょう。たとえ一時は忘れていたことでも、ある拍子で思い出して、その時改めて当時何が起こったのか理解することもあるでしょう。子どもの心に引っかかったことは、うまく言葉にできるようになるまで時間が掛かりますから、大きくなった子供は親に対して当時の事を言わないかもしれませんが、悲しかった気持ちや、納得がいかないことはすぐに消えることはありません。

 
 どの親にとっても子育ては完璧にはできるものではないでしょうが、子育ては、子供を育てると同時に、親が自分を見直す機会のように思います。子供を見ると同時に、親も子どもに見られている、そんな気がします。今は小さな子供が自覚していなくとも、何十年後かに彼らが親になったとき、自分の子ども時代を振り返って親の事を見るはずです。


 理不尽な事をしていないか?子供の気持ちを考えて話をしているか?自分の感情に任せてただ"怒って"いないか?毎日考えながら、子供と接していないといけないことだと思います。


 これを書いていて思ったのは、これは子育てだけではなく、どの人間関係でも同じですね。職場の同僚、先輩後輩、上司部下、多分どの人間関係でも育てる、育てられる人は、その場1度きりの関係ではなくて、育てられた人が将来、育ててくれた人をもう一度見直す機会があるはずです。その時よかったと思われる育て方をしたいものです。