アラバマでの事件

 アラバマ州の大学で3人殺されたようです。大学の教授は日本と違って殆どがテニュア(終身在職権)を持っています。自分がリタイアしたいときに職を辞するので、70代の教授、時には80代の教授もいたりします。その代わり、就職したときからテニュアを持っているわけではなく、はじめはその候補生としてテニュアトラックの職につきます。たいていはAssistant Professor(助教授)がそれに当てはまります。テニュアトラックを5年ほど過ごして審査を受け、審査委員会がOKを出せばテニュアを獲得します。職名もAssistant ProfessorからAssociate Professor(準教授)に変わります。
 このテニュアをとるために5年間の間、業績を上げ、外部資金の研究費を獲得しなくてはならないのですが、その結果が思わしくなければ審査委員会から落とされることもあるようです。
 今回の事件は、テニュアトラックの教授(多分Assistant Professor)がテニュアの審査委員会でテニュア獲得ができないことがわかった直後に発砲、3人がなくなって3人が負傷したようです。
 どうやら本人は事前に自分がテニュアを落とされるのがわかっていたようで、銃も用意していたみたい。いくらアメリカでも普通に研究している教授が銃を携帯していることはありません。
 まず、テニュアトラックの職につくのもかなりの倍率ですが、そこからテニュアを獲得するのも相当のプレッシャーとの戦いのようです。

Professor Is Held After Three Are Killed in Alabama(NY times)
Three faculty members at the University of Alabama in Huntsville were shot to death, and three other people were seriously wounded, at a biology faculty meeting on Friday afternoon, university officials said.

The Huntsville Times, citing a university official, reported that a biology professor was being held in the shooting. According to a faculty member, the professor had applied for tenure, been turned down, and appealed the decision. She learned on Friday that she had been denied once again..

[追記]
 今回の事件の背景は、アメリカの研究者の雇用制度がありますが、どうもこの被疑者になっている人、過去にも銃を使った事故があったようですね。
ボストンにいたときには同僚宅にパイプ爆弾が送りつけられて、その送り主ではないかと疑われて事情聴取を受けていたり、実の弟を誤射で亡くしていたり。どれも立件はされなかったみたいですが、この人自身も問題を抱えていた可能性もありそうです。

Twists Multiply in Alabama Shooting Case

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On Saturday, the police in Braintree, Mass., said that she had fatally shot her brother in 1986 and questioned whether the decision to dismiss the case as an accident had been the right one.

On Sunday, a law enforcement official in Boston said she and her husband, James Anderson, had been questioned in a 1993 case in which a pipe bomb was sent to a colleague of Dr. Bishop’s at Children’s Hospital Boston.

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 このケースが、アメリカのアカデミアのシステムのシビアさから起こったものなかどうか、まだはっきりと言えませんが、研究業界の雇用システムの日米の違い、何がいいところで、どこがよくないところ、考えさせられる事件です。