返済不要の奨学金?

 貸付奨学金はローンと呼ぶべきだと個人的には常々思っているので、返済不要の奨学金というのは変な表現に感じてしまいますが、ちょっとでもそういうアイディアが出てきたのはいいことだと思います。もっとフェローシップ制度が充実するといいんだけど。

http://www.asahi.com/national/update/0514/TKY200905140386.html
親の所得格差が子どもの教育格差につながっている現状を踏まえ、文部科学省は、返済義務がない奨学金や学用品費の支援制度、幼稚園、保育園の無料化などを議論することを決めた。有識者による懇談会を25日に始め、7月までに提言をまとめる考えだ。

 文科省は、経済的に苦しくても向学心があれば勉強を続けられる環境をつくりたいという。ただし、財源をどう確保するかの問題があり、実現までには曲折もありそうだ。

 通信制を含む高校進学率は97.8%(08年度)とほぼすべての中学生が高校に入学している。しかし、経済格差に金融危機が追い打ちをかけ、授業料を滞納して中退に至る例が多く報告されている。

 現行の高校の奨学金や授業料減免は、対象者の世帯収入がかなり低く設定されていたり、保証人が必要だったりして、困っている生徒の需要に応えていないという指摘がある。困窮の中で返済の重さを考え、申請をためらう家庭も多い。このため、返済義務がない給付型の奨学金制度の導入を議論することになった。

 文科省内には、幼稚園や認可保育所の費用を無償にすべきだという考えも出ている。義務教育に上がる前で、これまであまり注目されてこなかったが、親が若くて収入が少ないことが多いため、幼児教育の大切さを踏まえて公的な支援策を検討するという。

 有識者の懇談会には、安西祐一郎・慶応義塾長、中村邦夫パナソニック会長、木村孟・東京都教育委員長ら5人が参加して、議論する予定だ。

 日本政策金融公庫の調査では、年収200万〜400万円の世帯は教育費が年収の半分を超えている。一方、日本の教育予算の少なさはかねて指摘されており、昨秋の経済協力開発機構OECD)の発表では、教育機関への日本の公的支出は国内総生産比で28カ国中最下位だった。(上野創)