科学VS感情論

 武田教授が最近テレビで言った発言が叩かれていますが、実際の動画を見ると当たり前のことを淡々と言っているだけだということがわかります。元教諭の今村さんという方は、武田さんの発言の始めのひとことの”言い方”にこだわって反発していますが、こういう感情論的な反発の仕方が、物事の事実を率直に見れない社会を作っていっているでしょうね。


読売テレビ番組>東北の農作物、健康壊す…中部大教授発言
毎日新聞 9月6日(火)22時16分配信

読売テレビ(本社・大阪市)系列で4日放送された番組で、中部大の武田邦彦教授が岩手県一関市の放射線数値を示したうえで「東北の野菜や牛肉を食べたら健康を壊す」などと発言したとして、勝部修市長は6日、武田教授に抗議のメールを送ったことを明らかにした。
◇一関市長が抗議
番組はミヤギテレビが4日午後1時半から放送した「たかじんのそこまで言って委員会」。武田教授は子供の質問に専門家が答えるコーナーの中で、放射線量の高い地域として一関市を挙げ「今、東北で農作物を生産するのは間違い」などと発言。他の出演者が疑問を呈したのに対し、「取り消すつもりはない」と語ったという。

勝部市長は「農家の感情を逆なでする非常識な発言だ」と指摘。武田教授に発言を取り消すつもりはないかを確認したうえで、今後の対応を考えるとしている。

番組を見た市民から市に連絡があり発覚した。発言は動画サイト「ユーチューブ」にも投稿されてる。読売テレビ毎日新聞の取材に対し「武田先生に批判的な意見も入れて(放送して)いる。(番組)全体を見てもらえば、問題のある内容とは思わない」としている。

 武田教授と元教諭の今村さんのやり取りのビデオを見て、科学的な議論をしようとしている人と、それに対して感情論をぶつけているだけにしか見えませんでした。でも、こういうやり取りって日本では良くあることのような気がします。自分も含めて、陥りやすい議論(にもならないけれど)の形態です。相手の発言の内容に反論するのではなく、相手の言い方をなじる。これは多分日本の国民性のような気がします。自分は議論をしているつもりなんですが、実は議論をしようとしているんじゃなくて自分が相手に認められることが第一に着ている。そのため相手が、自分の気持ちを分ってくれないと、それを責める傾向があるのかもしれません。
 
 人によりますが、研究者同士の議論であっても例外ではなくて、極端に言えば議論といえば相手を否定することに終始する人もいるし、逆にそういう不毛な議論にならないように、相手の意見をひたすら傾聴する場合もあるでしょう。多分、日本人は文化的背景に、あるテーマで、事実を論じることが不得手なんじゃなかろうかと思います。自分の意見に反する対立意見を聞いたときに、あなたは私の気持ちを分っていない!と反論するのは、(自分の意見が否定される)=(自分自身が否定される)と連想してしまうせいなのでしょう。

 日常生活でも、こういうやり取りをした経験、したことありませんか?

 これは教育の問題でもあるような気がします。みんな仲良くしましょう、というのは、文句を言わないようにしましょうという話にいつしか摩り替えられて、まともな意見いって建設的に話し合おうにも、意見を言うこと自体が悪いこととと扱われてしまって、いつの間にか自分の意見を持たなくなるのが日本の教育のような気がします。先生の言う事を聞いて、いい子にしていることがよくて、何かを変えようとすると根回しを念入りにして世論を味方につけてうまくやらないと、言いだしっぺが叩かれる。結局自分が叩かれるのがイヤだから、みんなと同じように何も言わなくなってしまいます。学校の先生にとっては子供たちが聞き訳がよくてやりやすくなっていいのだろうけど、議論とは何かっていう教育をしていないから、いざ大人になってからやらなくてはいけなくなったときには、感情論に終始してしまうような気がします。

 こういう風な性質だってことを日本人は自覚していないから、戦争にも負けたのでしょうね。

つぶやきかさこ
kasakoblog.exblog.jp
http://kasakoblog.exblog.jp/15392803/

それを「百姓がかわいそうだ」「農家がかわいそうだ」
っていうのは明らかにおかしい。
じゃあ子供が死んでもかわいそうじゃないんですか?
そういう話だ。

このやりとりに際して、漫画家の江川達也氏が、
「感情論を優先して日本は戦争に負けた」と発言したのが印象深い。