課税の嘆願

 アメリカでも、富豪といわれる人たちが自分達の課税率が低く、優遇されている現状を変えるべきだと提言したニュースがありましたが、フランスの人たちも同じ事を考えているようです。確かに、お金を持っている人たちが高い税率で税金を払わなければならなくなれば、一見自分に不利になるような気もしますが、国そのものが立ち行かなくなっていきそうな現状を考えれば、高所得層の税率を上げて、経済を円滑に廻すようにしたほうが結果的にいいはずです。

 実際、アメリカでは低所得者層と高所得者層の差は格段に激しいようで、お金を持っている人は信じられないくらい財産がありますが、そうでない人はとてもつつましやかに暮らしています。

 面白いのは、富豪自身が自分に課税してくれと嘆願しているところ。自分のことだけでなく、社会全体と自分自身の立ち位置、税金を払うことで長期的に見てどんなことがプラスになるか理解した上で提言しています。

 立ち返ってみて、日本ではどうでしょう?同じように巨万の富を持っている層があったとしても、こういう提言は起こり得ないような気がしてなりません。

「われわれ富裕層に増税を」、フランス富豪らが政府に嘆願
ロイター 8月24日(水)12時58分配信

 [パリ 23日 ロイター] 化粧品大手ロレアル<OREP.PA創始者の遺族やエネルギー大手のトタル<TOTF.PA>代表など、フランスの富豪らが23日、国の財政赤字削減を支援するため、高額所得者への増税を政府に要請した。

 週刊誌ヌーベル・オプセルバトゥールのウェブサイトに掲載された嘆願書は、企業首脳やビジネスリーダー、個人ら16人の連名で、同国の富豪らを対象にした「特別貢献税」の創設を提唱。海外への租税回避をさせない仕組みが必要だとしている。

 この嘆願に賛同したのは、ロレアル創始者の娘リリアン・ベタンクールさんやトタルのクリストフ・ドマルジェリ最高経営責任者(CEO)のほか、エールフランスKLM<AIRF.PA>のジャンシリル・スピネッタCEOなどで、「われわれはフランスの制度と欧州の環境から恩恵を受けていることを理解しており、その維持に一役買いたいと望む」と訴えた。

 国債の格下げ観測も浮上しているフランスでは、政府が財政赤字の削減目標を達成するため、高所得者向けの増税や住宅関連税制優遇の縮小、企業向け税控除の縮小などを検討している。