だぼ

だぼ…筋交いより3倍強い耐震伝統技法

 板のつなぎ目に小さな木片「だぼ」をはめ込み、揺れを吸収させることで、震度6強クラスの大地震にも耐えられるという。関係者は「耐震改修と県産材の利用を促進できる一石二鳥の取り組み。東日本大震災の記憶が新しいうちに実用化し、改修ニーズに応えたい」と意気込んでいる。

 倉吉市福光の池田住研。同試験場の提案を受けて約10年前から杉板を使った耐震壁の開発を進め、今年3月に共同実験で強度を確かめた。

 堅いカシで作っただぼは、長さ9センチ、横4・5センチ、厚さ3センチ。実験では、震度6強の揺れに相当する圧力を横からかけたが、だぼが板のずれを抑え込み、壁は水平方向にゆがんだものの破壊を免れた。圧力を抜くと元に戻り、筋交いを1本入れた木製壁に比べて3倍の強度を示した。

 だぼは奈良時代から、寺社建築で柱同士やはりの接合面のずれ止めとして使われてきた。しかし、施工が面倒でコストもかかるため、一般の家屋に使われることはまれだった。

 同社社長の池田勝美さん(59)は、杉板のつなぎ目に外側からかんぬき状にはめ込むことで工法を簡略化。杉板も建築現場の足場や床板として流通している長さ4メートル、幅24センチ、厚さ3センチの規格品を加工して使うことで、比較的安価に仕上げることができるという。

 さらに採光やデザイン性を考慮し、8センチ角の杉材を格子に組んで、一部の区画にだぼ付き板をはめ込んだタイプも開発。この壁はより強度が高いうえ、部材が小型なため、間伐材の利用促進も期待できる。

 県の抽出調査では、耐震基準が改正された1981年以前に建てられ、耐震性が不足している住宅は3分の1に上り、県全体では約6万4000戸と推定される。池田さんと同試験場は今年中にも実験データをまとめ、実用化に向けて部材の規格や施工マニュアルを作る予定だ。

 池田さんは「できるだけ安価で簡便な工法を確立し、県内の建築業界で広く共有したい」と話している。(上田貴夫)

(2011年4月22日14時55分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110422-OYT1T00453.htm