自分がいる地域の特徴をどれくらいわかっているか?

 今回の地震で亡くなった方の9割が津波による溺死だそうです。13,135体の遺体が検死されて、溺死が92.5%に上ります。溺死以外でなくなった人の数は985人となります。阪神淡路大震災の時には地震被害で6,000人以上の方がなくなっている事を考えると、地震そのものの被害での死者はとても少なかったことが分ります。

地震】水死が9割超 岩手、宮城、福島3県の死者
(04/19 18:28)ANN news
 東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県で死亡した人について、9割以上の死因が水死だったことが分かりました。
 警察庁によると、岩手、宮城、福島の3県で見つかった遺体について、今月11日までに1万3135体の検視が終わっていますが、そのうちの92.5%にあたる1 万2000体以上の死因が水死でした。次に多かったのが圧死やけがによるもので、全体の4.4%にあたる578体だったということです。また、年齢が判明した遺体のうち約65%が60歳以上で、高齢者が津波に巻きこまれたケースが多かったとみられています。
http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210419044.html

 理由として考えられるのは、阪神淡路大震災の時に比べ、地震に対する備えができていた可能性と、阪神淡路大震災の時には、地震の被害が神戸を元として都市部で多く起きていたのに対して、今回の地震はそこまでの人口密集地が無かったためとも考えられます。しかし、地震の規模の大きさ(阪神淡路大震災M7.3に対して東日本大震災M9.0)と、影響を及ぼした地域の広さは阪神のそれよりも広いですから、これらを差し引いても地震による死者数は低いことが分ります。

 死者行方不明者を合わせて2万人以上のになる被害は、殆どが津波によるものですから、この地域の防災は地震だけではく、地震とその後に来るであろう津波の両方を考えなくてはならなかったはずですし、実際そういう方針で防災対策が立てられていたのでしょう。ただ、予想していた津波とは規模が違った。実際の災害規模は、多くの場合予想していた規模を上回るように思います。三陸沿いでも、今回の経験をもとに防災を見直さなくてはならないでしょうし、街の構造自体を1から考え直すことになるはずです。

 今回の出来事から多くのことが学べると思いますが、実際日本の他の地域では、それぞれの地域で起こる災害に関してはどう準備されているのでしょうね。


 千葉の浦安では液状化現象が起こりましたが、これは埋立地である以上、十分に予測されていたことのはずです。神戸のポートアイランドでも震災時には液状化現象がひどかったですが、今回も同じように埋立地で起こりました。でも、そこに住んでいる人たちはどれくらい日ごろから意識していたのかというと、まさかここまでひどい液状化現象がでるとは予想していなかったでしょうし、殆ど意識していなかったのではないでしょうか。実際、地震の後液状化現象が起こったことについて、地震の専門家が調べて、浦安の地盤の弱さに改めて驚いたという記事を読みました。これだけ大きな住宅地が埋立地の上にあって、液状が現象が起きることを予測していなかったとすれば、日本の他の埋立地の殆どが地震に対する対策ができていないことの表れかもしれません。

 かつて静岡県に住んでいたときには、他の地方に比べれば地震に対する意識は高かった気がします。東海大震災が起こるとずっと言われてきましたし、いざ富士山が爆発して土石流が起こった場合どの地域が被害を受けるだろうかとか、考えることもありました。地域の防災訓練もあったようですし、地震に対する意識は高かった気がしますが、そういえば津波に対する対策については聴いたことがありませんでした。比較的海に近い地域だったのですが、津波が来たときにどう行動すべきかという話を聞いた記憶はありません。地元民でなかった所為で知らなかったのかもしれませんが、それはそれで問題です。

 地域によって災害がもたらす被害は違いますから防災対策は違うはずです。都市部は都市部の、山間部は山間部の、海沿いは海沿いの防災対策があるはずですが、どれくらい地域の特性を生かした防災対策がされているのでしょうね。今住んでいるところで、地震のときに何が起こりえて、どいういうリスクがあるか、もう一度考えるいい機会かもしれません。