クラウンが... 3 手術を受ける

以前、クラウンをかぶせてある歯の直ぐ横が考えられないくらい腫れた、という話を書きましたが、その症状は結局、歯根嚢胞(しこんのうほう)からきたものだったようです。

歯根嚢胞

http://www.implant-kaneko.jp/surgery/07.html

http://www.checkdent.com/en/videos/bone-cyst-160.html

もうかれこれ20年近く前にクラウンを被せるときに、根管治療(Root canal)をして、神経を除去してそこに詰め物をする処置をしたのですが、その処置をした根っこの部分に膿ができて、それが膜に包まれた状態でになって(嚢胞)ずっと居続けたようです。歯の根っこの直ぐ下にそいつがあったので、膿ができて、周りの骨を溶かし、ついにそこに収まりきらない量のうみが生み出されて上の方に出てきて、口腔内に出てきたわけです。
ですから、この間できた腫れは、膿がはいった風船のようなものだったのでしょう。じっさい風船が割れて、膿が出てきました。

先週の土曜日、歯茎の専門医にかかって、手術を受けてきました。処置は歯肉を切開して幹部を露出して嚢胞を除去する。歯根をクリーニングしてあとは閉じておしまい。

9時半の予約だったのですが、手術が始まったのは11時くらい。手術前に抗生物質を経口投与され、その効果がでてくるまでは待っていたためです。

専門医がやってきて、少し話しをしてどういう手術をするか、処置後どうなるのかの質問をしたりして納得した上で麻酔をかけてもらいます。この専門医、アメリカ人ではありません。多分どこかの東欧の国の人のようでした。最近では英語の発音から大体推測できるようになりました。歯科医はいろんな国から来ている人がいるようで、おういえば、知り合いにはフィリピン人の歯医者もいました。英語でコミュニケーションができれば、基本的に何人でもかまわないわけです。

ちなみに、TkとTmの主治医(PCP, Principle Care Physician)はキューバ出身の女医さんです。いつもいくと南国特有の陽気な雰囲気で和やかにしてくれます。

手術の話。その先生がかけた麻酔は、注射するときの痛みが全くありませんでした。麻酔をかけた後なら痛みが無いのは分るんですが、いつ注射を打たれたのか分らないくらいだったのに少し驚きました。そういえば、注射するときにほっぺたをフガフガ揺らしていたので、その効果で痛みを感じなかったんでしょうか?



実際に歯茎を切開して幹部を見てみると、骨が結構融けていたようです。医者が言うには、そこの部分はもう鼻腔がすぐそこにあるところまで骨が融けているそうです。歯が生えているところの骨が溶ければ、その上にあるのは鼻腔なわけで、そこが貫通してしまったら厄介なことになります。幸いまだ貫通はしていなかったのが幸いでした。

歯根のう胞(根に膿がたまる)摘出術
http://www.ochiho.com/html/03-shinryo-6-kokugeka.html

歯の根っこは3本ありますが、医者がアクセスしたのはそのうち1本だけ。もっとも長い歯根でした。歯根には球状ののう胞がついていたのでそれを除去し、歯根をクリーニングします(ドリルで)。良く観察すると、歯根自体が先端が割れていて、放置しておくのはよくないと判断したようで、同意の上でのう胞があった歯根の先端を4-5ミリ切り取りました。見せてくれたその歯根は縦に3つに割れていました。歯根に充填されていた詰め物もありました。のうほうは美しい(?)球状の形をしていて、サイズは直径が3-4ミリくらいでした。

3本ある歯根のうち、医者が処置したのは1本のみで、その他の歯根は切開した場所からはアクセスできないので処置はせず。もしそっちにものう胞ができているようなら、また再発する可能性は歩けど、多分大丈夫だろうというようなコメントでした。

3本中1本の歯根がなくなっているということは、残り2本で歯が支えられているということでしょうから、この歯に限っては強度は弱くなっているはずです。まあ、もともと歯根が食い込むべき骨自体も融けてなくなっていたので、長年2本の歯根のみで支えられていたわけで、大して変わらないのかもしれませんけど。。。

骨が解けてなくなった空間には何も充填することはありませんでした。普通は人工骨や、実際の人の骨を材料にした充填剤などでうめて、再生を促すようです。友達の歯科医によれば、邪魔するものさえなければ骨はちゃんと再生するようです。今は、そこの部分はガッツり凹んだ状態になっています。

切開した歯茎は縫い合わせて、今もまだ糸が歯茎に縫い付けてある状態です。次の診察は今度の土曜日なので、その時に抜歯してくれるといいのですが。

切開して縫い合わせた部分の歯茎はなぜか真っ白でぶよぶよになっています。歯茎の組織が壊死してしまったようにもみえます。見た目、けっこうグロいんですが、痛みはないのが幸いです。


今回の手術費用は、保険抜きだと900ドル。痛い金額です。今は保険会社に請求が行っているはずで、保険でカバーされる金額の差額があとで請求されるでしょう。

今回のことがあって、今まで使っていた歯医者をやめました。4年近く通っていたんだけれど、そういえば、歯茎の隙間の深さを測ってくれたことは一度もありませんでした。虫歯の治療は一生懸命進めてくれるんですが、根本的なところをケアしてくれなかったのかもしれません。ずっとクラウン付近の歯茎のうずきは自覚症状があったので、軽く見ていた私も悪いのですが。

アメリカに来て何を気を付けるようになったって、歯磨きを念入りにするようになりました。2-3種類の歯ブラシで磨いて、なおかつフロスをします。歯間ブラシもつかいますし、最後にはマウスウォッシュで消毒もします。結局予防的措置にかかる手間やコストは、歯医者に行って虫歯の処置をしてもらう手間や痛みに比べたらたいしたことありません。とくに医療費が高いアメリカでは。

多分、日本の歯科治療の問題点は、予防的措置と、それをしないとどうなるかという知識が絶対的に不足していることでしょう。保険が大部分の治療費とカバーしてくれるから、虫歯ができてもたいしたことないと考える傾向があるのかもしれません。

もっと歯の病気の知識と歯磨きの重要性をしっていれば、と後悔するのは年をとってからなんでしょうね。

せめて自分の子供には、歯磨きとフロスを習慣付けたいものです。自分のようにならないように。


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