違和感

 どうもこの記事には強い違和感があります。いろんな人がいろんな事情があって、避難できた人もいれば避難できない人もいて、個々の事情をどうこう言うつもりなんじゃなのですが、原発以降、半年間幼児が原発から28キロ地点にすんでいて、それが夫の帰りを待ちたいからという奥さんの思いがあるから、という風に美化して書かれている記事はどうも違和感があります。

 原発から半径30キロ圏内にいる事自体、既に高いリスクがあるはずで、特に乳幼児がそこに住んでいた場合、今後数十年に渡ってその人たちの健康に悪影響が出る可能性もあります。
もしも自分がそこに住む子供を持つ親の立場だったら、そんな放射能の影響が強い場所には住みたいとは思わないでしょう。それでもそこを離れざるを得ない理由があるのでしょうが、住み続けることでとるリスクの高さを考えれば明らかに良い選択ではありません。

子供にとっては高リスクの環境においてしまっている事が問題なのであって、むしろ子供の事を第一に考えてその場からとっくに避難しているほうがいいはずだということは明らかなのに、この記事では夫思いの妻が夫の帰りを待ち続けているという、被災者の思いという感情面からクローズアップするような記事になっていて、どうにも気持ちの悪さが残ります。

どうも日本のマスコミはお涙頂戴的な話ばかり書いて、大切な事を伝える能力が無いのかもしれません。

東日本大震災>不明の夫、待ちたいから 原発30キロ圏内に残る、福島・南相馬の女性
毎日新聞 10月17日(月)7時57分配信

室内で遊ぶ(手前左から)次女の門馬佑ちゃん、三女の咲和ちゃん、長女の泉月ちゃん。奥は母麻野さん=福島県南相馬市で2011年10月16日、岩下幸一郎撮影
 ◇原発30キロ圏内の実家に残る、福島・南相馬32歳女性

 東日本大震災で行方不明になった人の身元確認件数が大幅に減る中、東京電力福島第1原発から30キロ圏内に残り、夫の帰りを待ちわびる人がいる。福島県南相馬市の門馬麻野(もんままや)さん(32)。幼い娘3人への放射線の影響を案じつつ、「夫が真っ先に連絡が取れる場所に居てあげたい」との思いが交錯する。【安高晋】

中略

そんな原発が爆発した。家族の行方は分からず、自宅は津波に流された。いったん福島市の避難所に逃げ込むが、娘たちが余震の恐怖と慣れない環境に体調を崩す。3月下旬、自宅から5キロ内陸にあり、津波被害を受けなかった原町区の実家に戻った。以来、半年余を過ごしてきた。

 実家は原発から約28キロ。放射線の影響が気になる。8月の検査で佑ちゃんに内部被ばくがあったという結果が告げられる。10月の再検査で「今後50年間のうちに1ミリシーベルトは超えない」と言われたが、ショックだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111017-00000006-maiall-soci