科学を支える基金を個人の寄付で

日本にしては非常に珍しいニュースです。

生命科学担う若手に計1.5億円支援 大先輩の富澤さん 朝日新聞 2010年12月5日0時54分

 日本の分子生物学の草分けであり、DNA複製の研究で数々の業績をあげた元国立遺伝学研究所所長の富澤純一さん(86)が、若い研究者の支援に役立ててほしいと、私財の1億5千万円を日本分子生物学会に寄贈した。同学会は基金を設立し、今後10年間、毎年5人に300万円ずつ贈る。

 名称は「日本分子生物学会若手研究助成 富澤純一・桂子基金」。今年1月に亡くなった妻桂子さんの名前も加えた。桂子さんは生前に「社会貢献ができたら」と口にしていた。「若い人が楽しんで研究して、新しいものを生み出してくれたら」と富澤さん。使い道は研究費に限らず、生活費にあててもいいという。

 対象は原則39歳以下で、生命科学の基礎研究に取り組む人。「科学はすぐ役に立つことが求められるが、自由な発想の基礎研究から予想もしない成果が生まれる可能性がある」と基礎研究の大切さを指摘する。来年1月7日から31日まで募集する。基金運営委員会委員長の山本正幸・東大教授は「若手にとって大きな励みになる」と話している。

 富澤さんは大阪大教授を経て、米国立保健研究所の部長を務めるなど日米で活躍した。1986年度の朝日賞を受賞。2000年の文化功労者に選ばれた。日本学士院会員、米国立科学アカデミー外国人会員でもある。(松井京子)


個人が生命科学のために科学のために寄付をしたり、基金を作って支援をすることは、アメリカや他の国でも珍しくないのですが、日本では全くと言っていいほど見かけません。製薬会社の創業者が科学財団を作って奨学金や、助成金、研究費を支援するというのはいくつかありますが、それ以外は殆どないのが現状でしょう。

 ところで、Palmという製品をご存知ですか?

こういう製品で、今で言う電子手帳のさきがけとなった製品です。この創始者ジェフ・ホーキンスと言う人は、一躍億万長者になったのですが、自身の興味であった神経科学への意欲をもち続け、財産を作った後に神経科学の研究所を作っちゃったそうです。

以下Wikipediaより

サイエンティフィック・アメリカンの脳特集号を読んで以来、 つねに脳がどのようなしくみで働くのかを勉強することに興味を持ち続けた。 当初は雇用されていたインテルで、脳についての新しい部門を立ち上げようと 試みたものの却下される。またMITAI研に入ろうと試みるも失敗。 けっきょくコンピュータ産業で成功を模索することにし、 その成功をもって本当にやりたい脳の研究の支えとしよう、と決断した [2]。

大規模理論神経科学については周囲の関心をほとんど集めることができず、 2002年にカリフォルニア州メンローパークで自らレッドウッド神経科学研究所を設立した。 その後ホーキンスがあらたにヌメンタ社を立ち上げたため、同研究所は2005年7月1日をもって カリフォルニア大学バークレー校に移管され、名称も理論神経科学レッドウッドセンターと改められた。 現在では同大学ヘレン・ウィルス神経科学研究所の管轄下にある。