待つことの大切さ

 言葉を覚えつつある2歳児と話をするときには、待つことが大切になります。子供は自分の記憶の糸を解きほぐしながら、その場に適当な言葉を組み立てようと頭をフル回転させていますから、大人がパッと言葉を継いでしまうと、意識に上ってこようとしていた言葉が消えてしまいます。Yuと話していても、会話の中でしばらく静止することがあります。そんなとき、つい"○○のこと?"と聞いてしまいそうになりますが、なるべく我慢してニコニコ待っています。すると、しばらく真剣な顔をしてブツブツ呟いた後文脈的にも文法的にも正しい言葉がポロっと出てきます。言葉を正しく言えると、それが正のフィードバックになって、自信になるようです。次からはよりスムーズにいえるようになります。
 歌の歌詞でも、子供が歌を歌っているとき、大人が先走って歌詞を口ずさんでしまうと、折角浮かんできた言葉が定着しないうちに消えてしまうように思います。しゃべれる側が待つことが、言語獲得で大切な要素かもしれません。子供がしゃべっている途中で言葉を継ぐように"○○ちゃん、△△でしょ?"という言葉をぐっと呑みこむだけで、その子を伸ばしてあげられるようになるように思います。

 これは子供に限らず大人にも言えることで、英語圏で、英語を母国語としない人で、英語学習中の人も同じような状況に出会います。その人が言おうと考えながらしゃべっている時に、Nativeの人がじっと辛抱して待っていてくれる、そんなゆっくりとした会話を繰り返し繰り返ししているうちに、徐々に言葉が出てくる速度が早くなっていくのでしょう。

 聞く側が、しゃべろうとする側に、"言わせよう"としない姿勢が成長させるのかもしれません。