言葉一つの重要さ

 ハーバードの教授が自宅の鍵を開けて入ろうとしたら、警察に捕まったというニュースが最近話題です。どうも自宅の鍵が開かず、何とか入ろうとしていたところを、通行人に通報されて、捕まったのだとか。この人、しかも黒人問題の専門家で、自分が捕まったのは警察が黒人差別をしているからだといってニュースになっています。しかもコメントを出したオバマ大統領が、警察の対応を批判して、逆に反発されているという事態に。警察は人種に関わらず、怪しい行動をして警察の尋問に協力的でなかったから逮捕しただけで、人種差別ではないと主張。大統領も事態の収拾を図るべく動くと言う、事態になっているようです。
 さて、黒人(black)という言葉は、日本では普通に使われていますが、アメリカでは日常生活でもBlackという言葉をなるべく使わないようになっているように感じます。いわゆる黒人のことを指すとき、African American(アフリカ系アメリカ人)と言います。これなら何の問題もありません。
 このニュースで焦点になるのは、警察が"黒人だから"手錠をかけて逮捕したのかと言う点です。通報した人がBlackという言葉を使って状況を警察に説明したのかどうかをレポートしたニュースが今日出ていました。通報者が、黒人がドアをこじ開けようとしている、というような表現を使っていたとしたら、警察はやはり黒人だから積極的に逮捕したと思われるようです。警察も、通報の段階からblackという言葉を使っていないということを示すために、通報記録を公開したようで、実際通報者は黒人かどうかに言及していないことがわかりました。Blackと言う言葉一つでも、つかったか使わなかったかでニュースになるほど、敏感な問題なわけです。こういう状況は、あまり日本では出会わないかもしれません。言葉一つでもつかい方を誤ると、大きな社会問題になります。
911 caller in Gates arrest never referred to 'black suspects' - CNN.com