教育費の話

 アメリカは去年からの不況でここの家庭の経済状態は総じて悪くなっているようです。リストラにあう人も多いでしょうし、職を失っていない人でも、退職者の分まで仕事が廻ってきて忙しい様子。合気道のクラブメイトのTomの会社もリストラがあって、最近忙しいみたい。この間そんな話をしていました。
 特に子供がいる家庭は何が大変かって、教育費がかかることです。アメリカの大学、特に私立大学は学費がとても高いのです。学部生だと年間約300万円ほどかかります。大抵大学の寮に入らなくてはならないので、それを含めると年間400万ほど。州立大でもその4分の1くらいだとか。それでも高いですね。15年くらい前は州立大の学費は年間4000ドル、約40万ほどだったんだとか。それがどんどん値上がりしているみたいです。
 現状では、アメリカの子供を持つ家庭は、子供が生まれたら時期に教育費の積み立てをはじめたり、ローンを組んだりします。学費のローンは卒業後に返していくことになるので、借金を背負うわけです。ですから大学には全員が行っているわけではなく、成績がいい人、経済的に学費を払える人しか行くことはできません。成績がよい人はスカラーシップ奨学金)を取ることもできます。全員が取れるわけではなく、ごく一握りの人だけが獲得できるものです。
 日本でも今春卒業した人たちは日本育英会への返済が始まっているのではないかと思います。日本育英会、いまは確か別な名前の機構になっていますが、この機構、奨学金という名でお金を"貸与"しています。貸与したお金は返済しなくてはならず、最近では返済しない人が増えたせいで、債権を転売することも考えているとか。
 一連の話を考え直すと、どう考えても根本的に間違っています。特に貸与型の奨学金というものがおかしいってことがアメリカに来てよく分りました。恐らく教育ローンのことを奨学金と読んでいるのは日本だけではないでしょうか。日本育英会奨学金は実質的には奨学金ではなく教育ローンなので、奨学金と名を使うべきではないと思います。どうしてそのネーミングが法律的に問題にならないのか不思議です。長い間その名前に慣れ親しんでいると、特に問題を感じずに使えるからなのかもしれません。あとは奨学金という名前の定義が日本とそれ以外とで違うのかもしれません。確かではありませんが。