スタイルの違い

 一般に同じ武道であっても、流派が違えば稽古方法も考え方も違います。共通点は残しつつも、解釈や表現の仕方が違うのは武道に限らず、スポーツ、宗教、政治、どの分野でも同じかも知れません。
 合気道の場合、元となる合気道を始めたのは植芝盛平という人で、大東流合気柔術や剣術、槍術など他の武術に自分の思想を加えて作ったそうです。植芝さんが作った合気会と言うグループ意外にも、主だった弟子が立ち上げた合気道団体もあります。日本では一番大きい団体として合気会、他には養神館合気道、心身統一合気道、という組織(流派)があるのですが、海外にもそれぞれ独立系の団体は多数あって、アメリカでも、60年代、70年代に合気道を広めに渡米して来た植芝さんの弟子がこの国で独自に作り上げた団体が多数存在します。アメリカで立ち上げた団体で大きな組織になっているグループの多くはあまり日本では知られていませんが、この国では多くの人たちがその中で合気道を学んでいます。

 私が住む町にも複数の合気道道場があります。一つは合気会系の道場、もう一つは独立系の合気道団体の道場です。残念ながらお互いに交流することはほとんどありません。お互いに技のスタイルも違って相容れないものがあるためか、距離を保ちつつ、それぞれ活動しています。傍から見ると同じ合気道なのにナニが違うの?と不思議がられるかもしれませんが、野球でも阪神と巨人が違うように、合気道でも取り組み方の違いは大きなギャップを生み出します。 
 アメリカでは分派、統合の繰り返しで合気道が発展してきた側面もあり、一旦分派し始めた流派はどこまで別れていくのか、興味深いところです。