何が重要かなんて簡単にはわからない

 研究業界にいることもあって、基礎研究の重要性がどれくらい世間に、というより国会議員と官僚に認知されていないのかを肌で感じます。実際、毎年大学や研究所の予算は減らされて行っていますし、競争的資金を獲得できない研究者は研究ができず、その研究費の分配も選択と集中とかいう官僚の考えた独自の枠組みで制限されるし、予算は使い道が官僚的なルールで決まっています。まあルールは必要なんだけど、自由度はまだ比較的低いわけです。(ただし、20年前に比べると、繰り越しもできるようになったし、徐々に改善はされています)

 

 じゃあ、どんな基礎研究は必要で、どんな基礎研究は必要じゃないのか?といわれたら、よくわからんですよね。研究者なんて、自分の研究分野プラスアルファくらいしか詳しくは知らないし、それが今後どういう影響を及ぼす研究なのかは実際のところ誰もわかりません。その道の研究者がかろうじて将来性とか、方向性とかは多少見通せるくらいじゃないでしょうかね。

 

 例えば昆虫の研究をやっている研究者がいたとして、それにどれくらい研究資金を配分されるべきかなんて、分野外の人に聞いてもわからんですよね。でも例えばこの記事は、昆虫の生態を調べておかないと、環境の変化がどれくらい劇的に起こっているのかが分からない例の一つかもしれません。

 

昆虫種の「壊滅的崩壊」、地球規模で進行中 研究
2019年2月12日 15:35 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]
昆虫種の「壊滅的崩壊」、地球規模で進行中 研究
ハチ(2018年6月25日撮影、資料写真)。(c)SYLVAIN THOMAS / AFP
【2月12日 AFP】世界の全昆虫種の半数近くが急速な減少傾向にあり、その3分の1ほどが地球上から姿を消す恐れがあるとの研究結果が、このほど発表された。これにより、食物連鎖や農作物の受粉において悲惨な結果がもたらされると、研究は警告している。

 今回の研究をまとめた査読済みの論文は「人類が食物生産の方法を変えなければ、数十年後には全ての昆虫が絶滅の道をたどることになる」と結論付けている。この論文は4月に学術誌「バイオロジカル・コンサベーション(Biological Conservation)」に掲載される予定だ。

www.afpbb.com

 

 だから、いろんな基礎研究を万遍なくサポートして、維持していく必要が社会としては必要なんじゃないかと感じます。