世代

 アカデミアの業界では、ここ20年くらいの間に人口の変遷の波があって、いわゆるポスドク問題はまだ解消されていません。ポスドク問題についてはここでは言及しないけれど、自分自身が大学院に入った時には、博士課程に行く人の数が増えた時期でしたが、逆に今はだいぶ減っています。

 当時院生になった人たちが今は40歳前後になり、ポスドク/助教(日本のライフサイエンス系ではほぼ同義だけど)か、人によっては准教授くらい。でもなかなかポジションがなくてごく一部を除く、ほとんどの人が数年の任期のポジションで食いつないでいるのが現状です。

 一昔前は助教(かつては助手というポジションだった)以上は任期なしで定年までいられましたが、今は助教はおろか、准教授(昔でいう助教授)も5年任期なんてのが多いんです。

 ポスドク問題の渦中にいる殆どの人が学位をとって大体10年くらい。結婚して子供も生まれて、小学校に入ったとか、幼稚園に入ったとか言う話がよく聞かれる年齢層ですね。

 

 最近、自分より若い年齢の研究者と話をしていたら、彼より10年くらい上の世代が詰まっていて若い世代のポストがない、と言われました。聞くと、大学院に進学する同世代はあまりいなかったとか。そりゃそうですよね。彼らにしてみたら、今35-40歳くらいの年齢の層がいすぎて、先が見えない。たくさん人口がいるその世代にしてみれば、さらにその上の世代がまだたくさん残っていることもあって、チャンス亜h少ない。そもそもアカデミアのポジションがどんどん減っているので、業界全体として漠然と閉塞感がある。そして政府は科学研究に使うお金をどんどん減らしている。

 同じ業界の、同じ年齢層の人と話をすると、いつもどんよりした話になります。そりゃ新しい発見が生まれるスピードは遅くなるだろうし、研究職をあきらめる人も出てきます。みんな生きていかなきゃいけませんし、家族を養わなきゃいけませんから。悩みは世代によって違ってきますが、閉塞感は若い世代には共通しているように感じます。まだしばらくこんな感じで行くでしょうね。