芥川賞

今年の芥川賞の作家はちょっと面白そうですね。一人は東大大学院物理を出てから物書きになったひとで、もう一人は高校卒業後小説を読んで、そして作家になった、対照的な二人のようです。

芥川賞・田中さん不機嫌「私がもらって当然」

 「現代的で知的なものと古めかしいものの両極」。同じ1972年生まれの新芥川賞作家2人は、黒井千次選考委員の選評通り、対照的な経歴と作風を持つ。
<中略>
 記者会見も2人の違いが際立った。円城さんは「芥川賞は多くの人に読まれる賞。読めない人がいるなら私の力不足だが、今後も奇妙な小説を書き続けたい」と、穏やかに語った。
 田中さんは開口一番、ある女優の言葉を引き、「私がもらって当然――大体、そんな感じです」。不機嫌そうな表情で「私は、本を読んで小説を書いて作家になったというだけ」と答え、会見は短時間で終わった。
(2012年1月18日01時32分 読売新聞)

新聞記事での記者会見の様子についての書き方はどうもバイアスがかかっている気がします。田中さんがあたかも”自分がもらって当然”と自分の言葉として言ったように書いてありますが、実際の文句は

会見冒頭、受賞した今の気持ちを求められた田中さんは、「確かシャーリー・マクレーンだったと思いますが、アカデミー賞に何度も候補になって(落選し)、最後に受賞したときに『私がもらって当然だ』と言ったが、そういう感じ」と発言。過去4回芥川賞候補になりながらすべて落選したことを振り返った上で、
「ここらで断るのが礼儀ですが、私は礼儀を知らない。もし断って気の小さい選考委員が倒れたら、都政が混乱します。(選考委員のひとりである石原慎太郎都知事閣下と東京都民各位のために、(芥川賞を)もらっといてやる」
となげやりに話すと、報道陣からは笑い声と拍手があがった。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw179911

と、すこしニュアンスが違う受け答えです。文学賞の受賞会見なのに、それを伝える側が言葉のニュアンスまで伝えないっていうのは風情がない気がします。