人事ではない

 ついこの間博士号を取ったばかりの身からすると、他人事ではないニュースです。世間一般にはどれくらい"大学院"の現状が知られているのか分りませんが、博士課程に進む大学院生の現実は実際厳しく、卒業できたとしてもその後の進路の選択肢も異常に少ないのが現実です。
 29歳まで博士課程にいたのだとしたら3年過程を2年オーバーしている計算になります。自分が5年間(もしくはそれ以上)かけて進めてきた研究に、指導教官がキチンとした指導もせずに受け取り拒否をしたとしたら、精神的に参ってしまうのも分ります。自殺するかどうかはともかく、進路の選択肢が少ない上に、博士号の取得もできず、アドバイザーからもそっぽを向かれてしまったら、最悪の状況と思ってしまうでしょう。他の大学にもこれに近いケースは沢山あるはずで、どの大学院関係者にとっても人事じゃないニュースです。

「指導に重大な過失」=大学院生の自殺で東北大
 東北大学は13日、昨年8月に自殺した大学院理学研究科の大学院生=当時(29)=について、准教授(52)=6日付で退職届受理=の指導に「重大な過失があった」とする調査報告書をまとめた。
 同大の調査委員会によると、学生は2007年12月、博士論文の原稿を提出したが、元准教授は最終的に受け取らなかった。
 調査委は、元准教授が研究の進展状況をよく把握せず、学生と十分な議論をしていなかったと指摘。国際誌投稿論文に関しても適切な指導をしたとは認め難いとし、「(学生は)学位取得に希望を抱けず、自殺に至った」としている。(2009/05/13-16:23)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009051300701