縮小
自民党は国立大を縮小するような提言を出したそうです。もう日本のアカデミアはどんどん希望が無くなっていくという感覚が現場の研究者にはあります。90年代後半から2000年ごろはまだ予算も増えていっていて、ノーベル賞受賞者もでていて、新しい分野が精力的に研究をしている感じがあったし、ポスドク1万人計画(失策だけど)の影響もあって大学院生も増えていっていましたが、もう今の若い世代に研究者になって生きていくことを勧めることができないような時代になってきています。
国立大は規模縮小、学部再編を=自民部会が提言案
自民党教育再生実行本部の高等教育改革部会(主査・渡海紀三朗元文部科学相)は10日、大学改革の方向性に関する提言案を大筋でまとめた。今後さらなる少子高齢化や人口減少が見込まれる中、全国に86ある国立大学の規模縮小や学部再編を求めた。月内に安倍晋三首相に提出する。(2018/05/10-18:59)
日本で一番大きい研究組織でもあるR研では大きな再編があったよで、大きな組織が縮小されたり統合されたり。その結果出ていかざるを得なくなった若い世代も多いだろうし、テクニカルスタッフも大分影響があったのではないかと思います。
日本で独立ポジションを得られない人たちの中には、シンガポールや中国で准教授、教授職を得て独立していく人もいます。実際Tkの周辺でもそういう人たちがいて、そういう選択肢が普通になっていっていくのかもしれません。それはいいことだけど。
研究予算のニュースをよく目にしますが、実際のところ予算の総額は変わっていないのだそうですね。ただ、割合が偏っている。どう偏っているのかはうまく説明されていませんが、たぶんこの図が良くあっているのかもしれません。
”選択と集中”の方針を取り続けた結果、大学や研究所の維持に関わる予算、テクニカルスタッフや事務員の人件費に使える予算が減って言って、なんかすごく高い値段の研究機器を買うための予算の割合が増える。そしてそういうお金は均等配分されないので、すごい実績を出し続けている研究者にしか渡らない。そうすると貧富と業績の差が生まれて、それはどんどん広がる、という構図。
さらに追い打ちをかけるように、非常勤雇いの人を5年以上は同じ期間で雇ってしまうと無期雇用にしなくてはいけない5年ルールがあるせいで、大学は5年雇用が終った時点で契約を更新しないという方針をとる。それじゃ有能なテクニカルスタッフはいついてくれないという悪循環が生まれてしまいます。
政策も、運用も悪い方向にしか行っていません。日本のアカデミアには閉塞感が充満している。