日本の首相はいまいずこ

 いったい管首相はどこに行ってしまったんだろう、というくらいメディア上で彼を見かけません。アメリカの大統領は"日本を助けよう"とあちこちの国で演説をして声を掛けているというのに、日本の首相は姿さえ見せない。これは大分変です。

 原発の事故当初、東電に乗り込んで怒り狂ったのをメディアに取り上げられたのが原因でしょうか。総指揮とるべき人はでんと構えていないといけないと思ったのかも知れません。しかし考え違いをしているような気がしてなりません。

確か、菅さんは原発事故当初、東電に乗り込んで行って

「撤退などはあり得ない。覚悟を決めてください。撤退したときは東電は100%潰れます」
「最悪東日本はつぶれる」


と言ったんだとか。

 私はこの認識は間違っていないと思います。全くその通りだと思うし、首相が最悪のケースを想定して動いて行く事はいい事だと思います。事故初期の時点で正しい対処をしなければいけないし、東電以外対処できるところはない訳ですから、東電が水素爆発が起きた当初に原発から撤退するつもりだったとすれば、東電に対する首相の怒りは当然です。


問題を挙げるとすると二つあります。

  • 一つは、首相が現場に乗り込んで不特定多数の人間に怒鳴り散らす結果になった事。

怒られてやる気が起きる人はいませんから、怒鳴り散らして相手に事実を認識させるとともに、怒鳴り散らす事でやる気をそいだ可能性はあります。そんな事言っている場合ではなかったのかも知れませんが、怒りを表す相手を絞るべきだったでしょう。

  • 二つ目は、東電を最前線に送り出したのが管首相なのだから、最後までケツ持ちをすべきなのに表に出て来ない事。

 作業をするのは東電の社長でも幹部でもなく、現場にいる作業員や東電の現場社員ですから、彼らが諦めずに作業できるように後方支援するのは、送り出したものの役割だと思います。別に菅さん自身が細かい事をいう事はないけれど、政府のトップである管さんがまさに戦場と化している原発で働く人たちが風呂も入れず、食事もカロリーメイト、寝るのは椅子の上に座ったまま、というひどい状態にあるのをなんにも手を打たずに、菅さん自身が姿も現さないのは明らかにおかしい。
 挙げ句の果てには海江田なんとかという大臣は冷却のための放水作業をするレスキュー隊を脅してしまうのは、どう考えても人の上に立つ人間のもつべき姿勢とは程遠いです。 怒鳴り散らすだけ怒鳴り散らしておいて、あとは自分たちでなんとかしろというのは違うと思うし、作業する人を見捨てるような状態にはしてはいけません。
 米軍だって、ブッシュにしてもオバマさんにしても前線のアメリカ軍を電撃訪問して激励しますし、士気が衰えないようにあの手この手で米軍を鼓舞しています。

 一旦始めた事ですから、最後までやらなくてはなりません。菅さんがどういう発想で何をしているのか解りませんが、今はもっと表に出るべきだと思います。まだまだ先は長そうですから。